2013年1月13日日曜日

梅の盆栽



 父は以前、会社の盆栽部に所属していたようだ。物置の中には、盆栽部の名前入の道具箱が残っている。会社まで自転車で10分足らずという近さもあって、時間的にも余裕があったのだろう、沢山の鉢花や盆栽も育てていた。最盛期には家の建物を一周する程、鉢花や盆栽が置かれていた。父はまた、植物を育てるのも上手で、園芸店で枯れそうになって捨てられている植物を只で貰ってきて育てた事もあった。父が植木を枯らすなど、私にとっては考えられない事だった・・
 
 父が亡くなる数年前からだったろうか、庭に置いてあった盆栽が枯れ始めた。大きくて立派な盆栽は庭の一角にまとめて置いてあり、それだけは一生懸命面倒を見ていたように思われた。その他は、見捨てたのかもしれない。私の週末は、枯れた木を鉢から抜いて捨て、空になった鉢を山に積む事であった。いつしか、積んだ植木鉢は百近くになっていた。枯れた木を捨て鉢を積むのはとても辛く、父の寿命がそう長くない事をその頃確信していた。

 梅はその中でかろうじて生き残った一つだ。以前はもっと花芽があったが、手入れが悪かったせいか左半分の幹が枯れてしまった。今回思いっきり幹を切って、鉢も植え替える事にした。自分にとってはこれが初めての盆栽だ。雪深い山里で待ち望む春をイメージして造ってみた。やってみると、木の配置を考えたり苔貼りや寒水砂を敷いたりと、とても面白かった。

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